SIKO FEATURED 特集記事
3年に一度、ドイツのデュッセルドルフにて開催されるK2019(国際プラスチック・ゴム産業展)に行って参りました。前回の2016年実績で来場者が約23万人、出展者数が約3,300社という名実ともに世界規模の展示会です。
環境問題の観点からプラスチックのイメージが悪くなっている中、世界のトレンドがどのように変化しているのかを学んで参りました。シコーグループでは紙とプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン)の包装資材を製造しており、それぞれのメリット・デメリットを理解しているつもりです。今回学んだことを今後の事業の在り方に活かしていこうと思います。
※ゴム及び、プラスチックのインジェクション成形は弊社事業外の為、割愛しております。
まとめ
トレンド
今回の展示会でのトレンドは以下の2つでした。
a. バイオプラスチック
b. ダウンゲージ(薄肉化)
a. バイオプラスチック
欧州バイオプラスチック協会の定義によると上記の①~③のカテゴリーがバイオプラスチックに該当します。ここでいう生分解は「コンポスト時に6ヶ月以内で90%がCO2化するもの」となります。CO2は測定しやすい為、生分解の指標に使われています。つまり、サーマルリサイクルが多い日本は欧州基準と照らし合わせると、かなり低いリサイクル率となります。バイオプラスチックはプラスチック生産量全体の1%程度しかない為、これからますます生産量増加してくるものと思われます。
b.ダウンゲージについて
プラスチックは利用するが、その使用量を減らすコンセプト。「Less is more(少ないほど、よりよい)」というキャッチコピーが掲げている会社があったのが印象的でした。プラスチックのイメージは過去最低まで落ちている統計がでているそうですが、Kメッセの会場全体からはプラスチックでまだまだできることはあるという気概を受けました。上記バイオプラスチックの採用よりもこちらの方が採用するにあたってのハードルは低いようです。
以下に事例を2つ掲載します。
ダウケミカル(アメリカ)
大きなブースにおいて、かなり目立つところで新しいグレードのポリエチレンの紹介がされていました。その高機能なポリエチレンは再生ポリエチレン(post consumer recyclate)を30%配合しても重袋(Heavy duty shipping sack)で求められる強度を保持できることが記載されていました。海外展示会のブースでよくあるのですが、資料にはパートナー会社として製袋メーカーの名前も列挙されていました。単にポリエチレンの機能紹介だけではなく、環境を配慮した再生ポリエチレンを含んだ処方箋の紹介と、製袋メーカーの協力を仰いで、商品作成と展示をしている見せ方が逸脱でした。
W&H(ドイツ)
重袋分野における世界No.1の機械メーカー。インフレーション機械の展示がしてあり、広幅フィルムの成膜を実演。こちらでは消費者リサイクル樹脂(PCR)や産業リサイクル樹脂(PIR)を3層の中間層に20~30%添加してもバージン樹脂と同等の性能を発揮できる成膜レシピを提案していました。こちらの方も協力企業として原料メーカー、製袋メーカーの掲示がしてありました。日系の原料メーカーも特長のあるレジンで協力されていたので個人的に嬉しく思いました。
その他
Kメッセに参加するのは3回目になりますが、その色合いは大きく変わってきました。先述のように環境が大きなテーマになってきたことに加えて、出展企業がよりグローバルになってきたことも挙げることが出来ます。台湾やインドの企業が小さなブースでも魅力的な商品を沢山紹介していました。従来は大企業の煌びやかなブースにばかり目を奪われがちでしたが、今回は小さいながらもキラリと光るものがある企業が複数あったので、全てのブースを丁寧に見て回る重要性を感じました。ちなみに全てのブースを見学するとなると3日間の通しチケットでおよそ30kmの距離になりますので体力勝負となります。
最後に
現地ホームセンターにおける包材の視察とお土産の購入をスケジュールの関係上、最終日の日曜日としていましたが、ほとんどのお店が閉店でした。キリスト教の考えに乗っ取って自主的に各店舗が休みをとっているのかと思っていましたが、「閉店法」なる法律で厳格にルールが決められているそうです。次回は同じ轍を踏まぬよう熱い決意をしました。
レポート②へ続く